猫を飼ったことがある人なら、一度は猫の鳴き声を聞いたことがあるだろう。
猫が喉の奥で鳴くのはかわいいものだ。
この鳴き声にはどんな意味があるのでしょうか?
今回はそんな疑問にお答えし、猫の鳴き声の真相に迫ります。
もくじ
猫がゴロゴロ音を出す仕組みは?
猫のゴロゴロ音が出るメカニズムは、人間の喉のあたりに相当する喉頭筋の収縮と声帯の振動によるものと考えられているが、実は現在でも完全には解明されていない。
いくつかの説がある。
音は渦を巻く血流によって発生するという説
喉を通る太い血管(大静脈)は、全身から血液を集めて心臓に送り込む役割を担っている。
下大静脈の血流が増加すると血液が渦を巻き、それが低い音を引き起こすと考えられている。
この音による振動が横隔膜によって増幅され、ゴロゴロという音になる。
鳴き声を出すために偽声帯が存在するという説
喉頭の声帯が開閉することで鳴き声を出すが、人間や他の動物にも声帯はある。
猫にも偽声帯という別の器官があり、それが動いて鳴き声を出すという説がある。
声帯は「ニャー」と鳴き、擬似声帯は「ゴロゴロ」と鳴く。
猫が鳴くとき!
実はこの鳴き声にはいろいろな種類があり、状況によって意味が異なるようだ。
笑顔のゴロゴロ
猫はリラックスしているときや幸せなときに、ゴロゴロとよく鳴く。
例えば、このゴロゴロ音は、飼い主に懐いて寄り添っている猫がよく出す。
これは人間の「笑顔」に相当すると解釈され、猫が幸せで喜びの状態にあることを他人に伝えることができるからだ。
このゴロゴロ音は中低音で、やや控えめな音量が特徴である。
猫を飼っていると、おそらく最もよく耳にする鳴き声のひとつだろう。
母猫と子猫のコミュニケーション
母猫と子猫のコミュニケーションには、鳴き声も使われる。
母猫は子猫に近づくと鳴き声を出してコミュニケーションをとる。
一方、子猫は生まれたばかりでは鳴くことができないが、生後2日目にはすでに鳴くことができるようになる。
子猫が鳴き声を出すのは、母親に「大丈夫だよ」と伝えているのだと考えられている。
ここでいう鳴き声は、絵文字の鳴き声とほぼ同じトーンである。
生後3週間までの子猫は低い音が特徴的だが、それ以降はうなり声の絵文字と音の大きさは変わらない。
子猫が飼い主といると安心するように、親や子供といるとリラックスできるのだ。
危険な時や苦悶の時に聞こえるゴロゴロ音
ゴロゴロ音はは、休息中や母子の間だけでなく、ピンチや苦痛の際にも鳴る。
例えば、怪我をした時、喧嘩を避けようとしている時、出産時、死にそうな時などである。
動物病院の診察台の上でゴロゴロと鳴くのは、まさにこのような理由で鳴くことが多い。
このゴロゴロ音は1や2よりもさらに低い。
なお、低いゴロゴロ音が聞こえるときは、動物が苦痛を感じている可能性がある。
異常なゴロゴロ音はなぜ発生するのか?
これまで紹介したゴロゴロ音はほとんどが低い音だが、時には少し高いゴロゴロ音が聞こえることもある。
それは、動物が何かを要求するときに発する「要求鳴き」であることがある。
餌が欲しいときや、飼い主に何らかの要求があるときにもこの音を出すと言われている。
ある実験では、甲高い要求音だけを抽出して被験者に再生したところ、猫を飼ったことのない人の多くが、その要求が緊急のものであるかのような印象を持って反応したという。
猫は鳴き声で飼い主を操作しているのかもしれない。
一生ゴロゴロ鳴かない猫もいる
すべての猫がゴロゴロ鳴くわけではなく、一生ゴロゴロ鳴かない猫もいる。
残念ながら、その理由もまだ解明されていない。
ただ、人間に慣れていない猫はゴロゴロ鳴かないのが普通である。
そのような場合は、コミュニケーションの機会を増やしたり、お気に入りの場所を撫でてあげたりすることで、徐々に鳴くようになるかもしれません。
鳴けなくても、時間をかけて信頼関係を築いていきましょう。
ちなみに、同じネコ科でも、ライオン、トラ、ジャガー、ヒョウは鳴きませんが、チーター、オオヤマネコ、マウンテンライオンは鳴きます。
動物園に行ったら、大型動物のゴロゴロ音や、その男らしい姿に注目してみても損はない。
ゴロゴロ音は人間にも有益
猫のゴロゴロ音の周波数は低く、ほぼ25Hzと考えられている。
実は、20~50Hzの音には、体の緊張をほぐす副交感神経を高める効果がある。
副交感神経とは、活動で疲労した体を回復させる神経で、疲労やダメージを取り除き、活力のある状態に戻すのに欠かせない。
半身浴やヨガなど、セルフケアとして副交感神経優位を活用している人も多い。
副交感神経優位になると、ストレスが解消されるだけでなく、免疫力も強化される。
また、低周波はセロトニンの分泌を促進し、多幸感をもたらす。猫のゴロゴロ音には、自律神経やホルモンバランスを整えるなど、意外な力もあるようだ。
フランスでは、ゴロゴロ音をセラピーやリラクゼーションに取り入れる「ゴロゴロセラピー」に使われている。
猫と暮らしていると、知らず知らずのうちに健康を増進しているかもしれない。
ゴロゴロ音はかわいいだけでなく、飼い主の健康を保つ効果もあったようだ。
リラックスしたいときは、家で猫と一緒に過ごすのもいいし、猫でなくても他のペットを飼っている人は「猫カフェ」に行ってみるのもいいだろう。
かわいい猫たちが、心身ともにリラックスさせてくれることは間違いない。
猫が幸せを感じるとき、鳴き声以外にどんなサインを出すのか?
鳴き声以外にも、猫が幸せを感じたときにする仕草があります。
尻尾を立てる
猫はしっぽで感情を表現する。
喜んでいるときや満足しているときは、しっぽを立てている。
犬はしっぽを振って嬉しさを表現しますが、猫がしっぽを左右に振るのは、イライラしているか、その逆を意味するので要注意です。
猫のしっぽについて詳しくは、「猫のしっぽってすごいんだね!立てる、膨らませるその理由」をご覧ください。
飼い主にスリスリする
猫が飼い主にスリスリするのは、機嫌がよく、甘えたいとき。
それは幸せの証でもあり、飼い主に甘えたい気持ちの表れでもある。
猫のスリスリする行動について詳しくは、「猫はどんな気持ち?顔や身体をすりすりする理由は?」をご覧ください。
お腹を見せる
おなかを見せて床でゴロゴロしたり、おなかを見せてすやすや眠ったりといった無防備な行動は、飼い主を信頼し、安心していることを示しています。
本当に幸せな瞬間です。
目を細める
目を細めているとき、猫は敵のいない環境でリラックスし、穏やかな気持ちになる。
猫が低く、苦しそうにゴロゴロと鳴き始めたら、病気かもしれない
飼い主は低いゴロゴロ音に注意を払うべきである。
猫が苦しんでいるとき、怯えているとき、痛がっているときに鳴ることがあり、陣痛中や死に際に鳴ることもある。
猫がこのようなゴロゴロ音を出したら要注意です。
猫は、たとえ具合が悪くても、崖っぷちに立たされるまで弱音を見せない動物です。
ですから、あなたの猫が横になって、苦しそうに低いゴロゴロ音を立てていたら、具合が悪いのかもしれません。
できるだけ早く獣医に連れて行き、獣医に診察してもらいましょう。